ノリカのやっぱり犬が好き 第1回<コリンウッドとなくしたメンバーシップ>

2012/05/10

 
 文・絵:ノリカ
 
「Hey ノリ、今日のゲーム行く? もちろん行くだろ?」 

金曜の午後。フッティ友のティムからの電話だ。
う~ん…相手コリンウッドなんだよね…いや~どうしようかな…う~ん…
 
「C'mon ノリ、 行かなきゃダメだって。行かなかったらメンバーシップ、キャンセルしちゃうぜ」

 
そのメンバーシップが、こないだセインツに酷い負け方して、あんたとやけ酒飲んだあたりから見つからないんだって。 
「何? それってまさか言い訳じゃないだろ? ええ、ほんとに見つからない? まあいいよ、うちに一枚スペアのチケットあるから」
 結局、説き伏せられた。

「じゃ7時20分にフッツクレイ駅で」

 
 
 

初めまして、Noricaです。

我らが愛する『ドギーズ』こと、ウェスタン・ブルドッグス

優勝したのはたった1度、58年前の1954年。
拠点はメルボルン西郊フッツクレイ、メルボルンきっての労働者階級エリア。

つまり、私を含めて、あまり裕福とは言えない人種がサポーターのほとんど。
つまり、スポンサーもあまりついていない。
つまり、一言で言っちゃえば、地味で貧乏な球団。

ただし「ウチは先祖代々・一族郎党ドギーズ・ファン」という地元民も多く、ティムのとこのサイモン家も、しかり。

私は移民の日本人のくせにフッティー・ファン、しかも地元フッツクレイだからって迂闊にもドギーズ・ファンになっちゃったのだが、そんな私のために、一年間ホームゲームをタダで見られるメンバーシップ・カードを買ってくれたりする一家がいたりする。

それがドギーズ。
野球で言えば『広島カープ』だ。
 
対する本日のお相手。
『コリンウッド』もしくは『パイズ』こと、コリンウッド・マグパイズ
 
異議なく『読売ジャイアンツ』。
 
ユニフォームが白黒なのも、ハデな選手が多いのも、金持ちなとこも、ファンがダントツで多いのも、アンチが多いのも、まさしく、ザ・『読売巨人軍』である。


コリンウッド相手のゲームは、嫌なのだ。行きたくない。
 

白黒サポーターの数の多さにまず圧倒され、
「俺たちコリンウッドだし」的な自信満々プレーに気圧され、
対するドギーズの
「ああっ!? なぜそこでゴールを狙わない!? 外してもいいから蹴っちまえよ!?」
的プレーにがっかりし、
負け試合の帰りには、頭に血が昇ったティムと姉のベッキーが、白黒ファンとあわや掴み合いになったりするし、


何より今シーズン(も)、ドギーズ、すんごい調子悪いし、また絶対、セインツの時みたいにボロ負けするし…。
 
 
 


私は、弱気であった。
結局、スタジアムには行かなかった。
「Oh well, まあそうだよね。テレビで見てるほうが賢い選択かもね」
 
 
 

ところがこのゲーム。

やれやれとりあえず、とテレビを点けたら、何と、第2クオーターの時点で、勝っていた。

後半、あの「俺たちコリンウッドだし」的プレーがプチ炸裂して逆転負けはしたものの、前半なんて細かく繋いで押しまくり、全体として結局すごくいい試合だったのだ。
 
 
ごめんよドギーズ。ごめんよティム。

なくしたと思ったメンバーシップ・カードは、その数日後、ひょんなところから出てきた。
 
やっぱり、犬が好き。(調子良すぎ?)
 
 
 
ノリカ・プロフィール

1971年東京生まれ。メルボルン在住。フリーで物書きをしつつ、日本語書籍専門の古本屋バーニングブックスを経営。家族はオーストラリア人の夫(フッティーにまったく興味なし)、8歳の娘(ドギーズが一番、キャッツは二番目に好きという浮気者)と、6歳の猫。動物は犬より猫が好き。Web: kiku-kaku.blogspot.com

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